インテリアショップ リグナ > Rigna Times > 【Topics】インテリア特集 > 革ソファ専門店の社長に聞いた!末永く使えるソファとは?

リビングの主役になるソファ。
横になってゴロゴロしたい人もいれば、床に座ってソファを背もたれ代わりにする人も。
座り方やソファの使い方は人それぞれです。

自分に合ったソファの選び方って?
革ソファってカッコいいけど布と比べて他にもイイところあるの?

ソファのあれこれを、
ソファ作りのこだわりがぎゅっと詰まった心石工芸の社長、心石さんにお話を聞きながら、
ソファの魅力をたっぷりご紹介します!

KOKOROISHI ココロイシ

広島県福山市に工場を構え50年以上ソファを製造し続ける心石工芸。『自分が気に入ったソファを末永く使ってもらいたい』耐久性はもちろん愛着を持ってもらえるかが大切だからこそ時代を越えて残るスタンダードな形であることに気をつけてデザインされています。飽きないデザインかつ素敵に経年変化していくことにより愛着が湧き末永く使えるソファになっていきます。また革張り専門店というだけあって、ソファに張れる革のバリエーションはかなり豊富で自分に合った革ソファを選べるのも魅力の一つ。何年も使った人から、「このソファにして良かった」と言ってもらえるよう、お客様の想いを形にし、上質なソファを作り続けるよう探求している。そんなソファメーカーです。

心石工芸の歴史

何で革ソファ専門店を始めたの?

昭和44年創業ってソファ業界としては後発なんです。当時、布張りのソファがメインでした。革のソファは少し差別的なことがあって革を扱うことができなかったんです。でも先代の社長がそんなこと気にしていなくて、後発メーカーなのでみんなが嫌がる革をやろうとなりました。その点で革を始めるのが早かったんだけど、当時革メーカーさんは革を売ってくれなかったんです。メーカーによっては証拠金を積まないと売ってくれなかった。そして革に何か問題があったとしてもクレームを一切受け付けない感じでした。色々探してもなかなか売ってもらえない中、ある1つの革メーカーに応援する形で売ってもらえた。それがあったから革張ソファで色々な仕事受けれるようになってったんだよね。

でもなんで革ソファなのかって言われると、当時革ソファを作るのにハードル高かったので挑戦したいという思いと、先代の社長も革が好きだからかな。うち(心石)がオイルレザーをやり始めた理由としては、革製品ってお客様のイメージだと使っていくうちに経年変化して味が出てくるという思い込みが多かったんです。じゃあそういう思い込みに応えるソファを作ろう、と思ってヌメ革で使っていて汚れるソファを作ったのが最初です。ただ自分の家用にヌメ革のソファを作ったのに、玄関のサイズを測り忘れていて入らなかったんですよね(笑)
それでショールームに置いてあってたまたま見た人が「欲しい欲しい」と言ってくれて、10年ぐらい前、じゃあ「このまま展示会に出してみよう」となりました。最初はいろんな人から酷評を受けましたけどね。こんな汚れる革ソファなんて作って売るなんて。それからいろんなニーズに応えられるように革のバリエーションを増やしていきました。(心石社長)

心石工芸の革

革ソファ専門店に聞いた、革のいいところ

-革ソファってなにがいいの?-

革のいいところといえば、長くご使用いただけること。
あとは、経年変化があるのも革のもつ魅力のひとつです。年月が経つにつれ、どんどん色が深まってくるので、高級感と存在感が増していきます。
ただ革にもいろいろ種類があります。ソファに張る革は、一般的には塗装されているタイプが多く、塗装膜が革の汚れや色褪せを防いでくれるため、小さいお子さんやペットが汚すことを気になる方におすすめです。布と比べて耐久性もあり、経年変化が少ないことが、日々のストレスを軽減してくれます。心石工芸は革の種類が豊富で、塗装されている革はもちろん塗装されてない経年変化を楽しめる革もラインナップに加えています。

「良い革」とは?

「良い」革とは、人によってその意味が違います。私たち(心石工芸)は様々な革を用意し、使う人にとって「良い」革でソファを作らせていただいています。その「良い」革の種類を大きく分けると2種類になります。①革本来の特性を生かす「良さ」と、②ソファとしての使い勝手の「良さ」です。

1革本来を生かす良さ「薄化粧」の革

革本来の良さを生かした革を一言で言うと「薄化粧」の革です。革の原料(原皮)の良し悪しは、革の表面のきれいさで決まります。木で例えると、木目のきれいな銘木です。その銘木にはペンキを塗らないように、良い原皮ほど薄化粧で仕上げます。肌がきめ細かく、傷が少ない、そういったきれいな革は人気なので、銘木と同様に価格も高くなります。ですので、基本的に「薄化粧」な革ほど価格が高いのです。

2ソファとして使い勝手の良さ「厚化粧」の革

ソファとして使い勝手の良い革は「厚化粧」の革です。そういうと聞こえは悪いですが、塗装が革を保護しているため気楽に使え、原料を選ばないためコストパフォーマンスも高い革です。塗装している革はメンテナンスが楽なので、お子様がいるご家庭に特におすすめです。

革のメンテナンス

心石の革は大きく分けて2種類あります。表面に【塗装膜がないもの】【塗装膜があるもの】です。それによってメンテナンス方法が違います。

【塗装膜のないもの/染料仕上げ革】革:KW・ヌメ革

革の表面である「銀面」は油分が適度にあることで耐久性を保っています。年に1-2回メンテナンスオイルを塗ることで耐久性を維持する事ができます。 それに加えて、蜜ろうWAXである程度の汚れを防ぐことができます。

【塗装膜があるもの/顔料仕上げ革】革:KZ・MS

基本的には乾拭きです。手垢などは湿らせたタオルで軽く拭いてください。無理に汚れを落とそうとすると、革を保護している塗装膜が傷んでしまい、耐久性を落とすことになります。

-メンテナンスが必要な革・不必要な革の違いって?-

心石工芸の革でメンテナンスが必要なのは塗装膜のない革(心石でいうとKW・ヌメ革)です。誤解されやすいのは塗装している革でもメンテナンス(クリームをぬったり、オイルを塗ったり)をしないといけないと思われている点です。
結論からいうと塗装している革にはオイルやクリームを使用しなくて良いです。革の塗料は使っているメーカーや革の色によって違います。中にはオイルやクリームと相性が悪い塗料もあるかもしれない。ただ、塗装をしている革に関してはオイルやクリームを塗ってもほとんど意味がないんです。逆に塗料がオイルやクリームと紫外線とかと反応してどう劣化していくかわかりません。しかも革とそのクリームだけだったらいいんだけど、【革・クリーム・汚れ・紫外線】、この4つが重なった時どんな反応するかなんて全種類テストするなんて不可能。どんな靴のクリーム、革のクリームって目立たないところに、「小さいところで一度お試しください」ってかいてあるでしょ?その理由は革の種類が多いのに全部テストできないからなんです。

ここまで話すと結局どうしたらいいんですかと聞かれるので塗料がのっている革にはできるだけ何も塗らないでくださいと伝えてます。お湯で絞ったタオルとかで皮脂油とか汚れとかを取るだけで、と伝えてます。

塗装していない革には心石工芸のメンテナンスオイルを塗ってください、とお願いします。塗装していない革には、一番シンプルな油だけ塗っていただくのが一番おすすめです。どういうクリームと相性いいかなんてパッと見ではわからないんです。この人と結婚したら絶対大丈夫っていう人がいないのと同じで、この革にこのクリームは絶対大丈夫というのはないんです。(心石社長)

心石さんで人気の革

-ずばり聞いてみた!心石さんで人気の張り地って?-

店頭にいらっしゃる方だと9割は革張ソファを選ばれるそう。その中でもKZが人気とのことでした。革らしい見た目だけどお手入れが簡単。イケメンなんだけど、真面目みたいなイメージ。

人気の色でいうと不思議なことに革によって違ってくるそう。塗装されている革で圧倒的に人気がある色が黒色。塗装している革はメンテナンスが楽なので、お子様がいるご家庭にはMSをおすすめしているそうです。
染めたり革らしさがあるものだと、人気の色は茶系に変わります。1番人気のKZはキャメル色。(他社で)いい色がでてるキャメルが少ないようで、探して探して心石さんにたどり着く方が多いようです。

心石工芸のこだわり

-気に入ったソファを末永く使ってもらいたい-

「私たちは、自分が気に入ったソファを、末永く使ってもらいたいと考えています。長期間使える耐久性はもちろん、愛着が湧き大切にできるかということも重要です。よく、ソファは何年くらい使えますか?と聞かれます。これまで見てきた中では、5〜6年で使えなくなる物もあれば、30年たっても普通に使っている物もありました。」と心石さん。

一般的には、10年くらいで買い替える方が多いかと思いますが、心石工芸のソファでは、15年から20年くらい使っている方が多いそうです。

使えなくなるケースで多いのは、張り地が痛んで破れてしまった場合、次にクッションの変形による型崩れや座り心地の変化です。張り地が破れてしまった場合でも、布のカバーリングソファの場合は、カバーを交換することで使い続けられますし、心石の革は張り替えることで、使い続けられます。

張り地・クッション(中材)の順に寿命が変わってくるが、張り地が破れるタイミングとすると布だと8~10年、革だと10~15年、長い人だと20年ぐらい使う方もいらっしゃいます。心石のウレタンだと20年経った時に交換しないぐらいの耐久性があるのが魅力です。

-長時間使える耐久性-

ソファの耐用年数の差は、ウレタンやバネといったクッション材がヘタる、つまりクッション性が悪くなることで、使えなくなるケースがほとんどです。木枠などのフレームが壊れるケースは特殊です。例えば、柱がたくさんある家って丈夫なイメージありますよね?
それと同じでソファのウレタンも密度によって決まってきます。密度が高いウレタンは、丈夫で変形しにくいので、長い間クッション性を維持することができます。かといって、高い密度のウレタンだけでクッションを作ると、座り心地が硬く気持ち良い感触が出せなかったり、本来求めていた見た目・デザイン性が失われてきます。ですので、様々な硬さのウレタンを組み合わせることで、快適な感触と耐久性、デザインとのバランスを作り出すよう工夫されています。

-デザイン-

「末永く使ってもらうには、飽きないデザインであることと、素敵に経年変化する素材であることが大切です」と心石さん。
ファッションと同じで、ソファにもデザインにも流行り廃りがあります。5年、10年と時間が経つと時代遅れのようなデザインに見えてしまうソファもあります。末永く使うソファだからこそ心石のソファは流行を追わず、時代を越えて残るスタンダードな形。であることに気をつけてデザインされています。さらに素敵に経年変化していくことも大切です。ビニールレザー(合皮)は汚れも気にせず気楽に使えて便利ですが、傷んできた様子が素敵とは言えません。オイル仕上げた木材は、汚れや傷がつきますが、それも一つの味。「あの時ああやってつけた傷だよね〜」なんて家族の会話のきっかけになるのと同じで、経年変化が素敵だと思えるものを選んで提案しているもの魅力の一つです。

年間3万円のソファ

-永く使えばその気に入ったソファ安くないですか?-

「国産ソファブランドだけで価格を比べて見ると、3人掛け布張りソファで15~40万円、総革張りで35~70万円が一般的という感じだと思っています」と心石さん。これでもかなり価格幅がありますよね。
価格差を出している大きな部分は、使っている材料の差で、特に張地やクッション材はコストに占める割合も大きいのです。

やっと見つけた気に入るソファが予算オーバーだったら、妥協して買えるソファを購入するのではなく、
気に入ったソファが買えるまで待つことも選択肢に入れてみませんか?
仮に60万円のソファの場合、20年使えば年間3万円です。

気に入ったソファでない場合、きっと愛着も湧きにくく座り心地が合わなかった場合、
せっかくのソファなのに床生活。なんてこともあると思います。

この1年で"3万円"のソファ。
ご自身にとって贅沢かどうか考えてみてください。
妥協せずに選んだソファは、きっと人が集まるソファになり、末長く使っていくのではないでしょうか。

背もたれの低いソファ

-部屋が広く見える-

一般的に背もたれが低いソファをローソファということも多いが、「ローソファを作ってるつもりはない」と心石さん。一番いい点は部屋が広く見えること。背もたれが高いソファを置くと壁があるように見え、どうしても圧迫感があります。ただ座面高が30cm以下になると腰への負担が大きいのであんまりお勧めではありません。腰が悪い人には奥行きが広くて寝転べるソファがおすすめです。寝る体勢に近いので腰に負担が少ないです。また若い人は単純に筋力があるから背もたれが低いソファに座っても腰が痛くならないです。あとは部屋が狭い人・背が低い人・子ども・ペットにはおすすめです。こうやって考えると色々なニーズに対応できるとなると背もたれが低いソファですね。

-いろんな体勢で座れる-

背もたれが低いソファって、横にある肘掛けと同じ高さものもが多いですよね。
そうすると通常の使い方もそうだが、座面に脚をあげて座ることもできるし、背もたれの部分を肘掛けとして横の人とおしゃべりってこともできちゃいます。
例えば映画館で映画を見ている最中、モゾモゾっと姿勢を変えたり、座り直したりしますよね?それって、同じ姿勢で座り続けないことで使っている筋肉を変えてその部分が痛くなりにくいようにしているんです。そう考えるとソファにも座り方のバリエーションがあった方がいいと思いませんか。心石のソファは、背もたれの上に腕が乗せられる高さにできるように設計されています。
それはソファに斜めに座ったり、背もたれの上に肘を乗せて頭を支えたりしながら座れるようにするためです。

ソファを選ぶときにここ見て!

クッションって飾りじゃない!!

ショールームやインテリアショップに行くと、クッションがソファの上に置いてある光景をよく目にしませんか?店頭でも「クッションどうしますか?」とお客様にお伺いすると「大丈夫です。いらないです。」という方が多いのですが、実はクッションは飾りじゃないんです!デザインの見た目の問題と考えている人がそうではありません。これ(写真)を見てください。座った時に背中と座面の部分隙間ができていますよね。特に硬いソファだと、これよりも隙間が空いてしまい腰に負担がかかってしまっています。腰が良くないという方がこのまま座っていると、すぐ腰が痛くなって長く座っていることができません。せっかく気に入ったソファでも結局床生活・・・なんてことにも!

どうしたら良いのかと言うと、背骨の形をS字型に保つように座ること。骨盤を前に傾けるように座ることです。S字型に保つためには付属してるクッションを背中に挟んでください。そうすると背中と座面の部分隙間がなくなりましたよね?ただ一般的なソファは、身長170cm程度の人を想定して設計されているものが多いので、多くの人は体に合わないソファに座ることになります。付属品のクッションやそのソファに合います!とおすすめされているクッションも合わない可能性もあります。自分が座った時に、いろんな大きさのクッションを使ってみてください。力を抜いたときに姿勢が崩れないクッションを選ぶことが理想です。

自分合ったソファって?

見た目も大事ですが、やっぱり座り心地が良くないと結局ソファに座らない・使わないということもあると思います。では店頭でどのような座り方を試せばいいのでしょうか。それは実際に家で使う使い方を店頭でも試すことです。背もたれにもたれてしっかり座る人もいれば、座面に足をあげてあぐらや正座をすることも。また座らずに寝転んでいる人も使い方は様々です。店頭でソファ買う人って普通に座ってソファ選ぼうとしますよね。10秒ぐらい座ってまた次のソファを試すという光景を良く目にします。リアルな使い方でこの使い方いいねと思ってもらえれば実際家でもソファにいる時間が増えると思うので、周りの目が気になるとは思いますが、ぜひ実際に使うことを想定して色々な形で座ってみてください。座り方は人それぞれクセがあり、座り心地の好みも十人十色です。なので、どれがベストとは言えませんが、15分くらい座り続けられて、立つ時に身体が疲れてなければ問題ないです。

-心石工芸取扱商品-
店舗ではこの他にも取り扱っております。

今後の思い

いいソファを末永く使ってもらいたいなという思いは今後も変わりません。
願いとしては座り心地や素材の肌触りとかを大事にしたいので、できれば実際に触って座って選んで欲しいなというのがありますかね。
何年も使った人から、「このソファにして良かった」と言ってもらえるよう、毎日より上質なソファを作り続けるよう探求しています。
これまで日本では世界に比べてインテリアにかけるお金が少なかったのですが、最近は自宅のインテリアや自分の生活を見直す方が増えてきているなと感じます。もうちょっと毎日の自分の暮らしを大事にしてくれる方が増えたら嬉しいなって思います。(心石社長)

取材を終えて...

いかがでしたでしょうか。
印象的だったのは、「使う人にとってのいいソファを末永く使って欲しい」というお客様への思い。
そういった思いが革のバリエーションの豊富さだったり、製造へのこだわりにあらわれているのですね。
どんなソファが自分にわからない方も多いはず。
この記事が少しでも皆様のソファ選びの手助けになれば嬉しいです。
これからもメーカーの思いを皆様にお伝えできるよう、より一層心がけていきます!

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