インテリア&プロップスタイリストの窪川勝哉さんが、毎号Rignaのアイテムの中から1アイテムをピックアップ。そのアイテムのまだ見ぬ魅力を引き出す「映え」なワンカットをスタイリングしてもらう連載企画。第8回は、スウェーデン家具の名作「リッラ・オーランドチェア」が選ばれました。
北欧家具って人気のアイテムで、しかも全体的にペール系の彩度を低いトーンで揃えるインテリアって一つのトレンドなんですよね。結構ダイニングテーブルとかもグレイッシュな感じというか、あまり色の深くないものを組み合わせて見たんですけど、そういう低彩度の空間を作るのに適した椅子じゃないかなと思っています。
もちろんダイニングとかもそうだし、家でがっつり仕事する人じゃなければ、これをちょっと作業時の椅子として使ってもらってもいいので、ダイニング以外の場所でも活躍してくれるんじゃないかなと思って二つの表情を作って見ました。アームがある事で普通に寛ぎ感もプラスされるし、更にデザイン性もプラスされていて、ちょっと北欧の雰囲気を出す為のブランケットみたいな物をアームに掛けておけます。あとは背が抜けるタイプの椅子っていうのは、背が抜けないタイプの椅子に対してあんまり空間に圧迫感を与えないっていうか、抜け感があるのでそんなに重くならないっていう特徴もありますよね。
北欧の家具って、基本的にあんまり飽きが来なくて長く使える物なんですよね。デザインがそんなに奇抜ではないので。ある家具屋さんでは、自社で販売した北欧の家具を5年後に50%で買い取るっていう事をやってるんですよ。何でかっていうと、それぐらい価値が下がらないものだから。それぐらい自信を持って販売出来るっていう事をやってる家具屋さんもあるくらい。北欧の家具って仮に5年間使って飽きが来ちゃったとしても、家具が廃盤になったとしても、買った時よりも価値や値段が上がっちゃう。もしかしたら50%以上の価値が生まれるっていうのが北欧家具。そういう意味では安い家具を買うと、買って粗大ゴミで捨てるみたいな事になるけど、良い家具を買っておくと使ってる内に買った時以上に価値が増すっていう事が起こりうる。そんな椅子のような気がする。
奇をてらったデザインではないのでずっと長く使ってもらえる普遍的なデザイン。でもちゃんと色でトレンドも抑えているっていう良いとこ取りなアイテムなんじゃないかなって思います。何なら飽きたら塗っちゃえば良いじゃんっていうぐらいの感覚で、ずっと楽しんでいける椅子なんじゃないかな。
(窪川さん)
使い込むにつれて価値が増す北欧家具。やっぱり素敵だなと改めて思いました。いい家具は長い時間を経ても飽きが来ずに愛されていく。むしろ使い込む程に経年変化で色味が深くなったり、リペアしていく事で家具の魅力が増していく。そんな風に愛着が持てる家具と出会えたらいいですよね。
食事をしたり、作業をしたり、何か家で行動する時いつもそばにある家具は結局の所椅子だったりします。低価格の椅子はいくらでもあるけれど、いつもそばにある家具だからこそ、ちょっと奮発して良い椅子を買う。心がちょっとホクホクするような、そんな買い物を私もしたいなと思いました。
(スタッフ:くらさん)
スポークと板座の一見何の変哲も無いデザインですが、だからこそ長年愛され続けているチェアです。「スウェーデンの家具の父」と呼ばれるカール・マルムステンがAland島の教会を訪れた際、そこにあったチェアからインスピレーションを受けたため、Lilla Åland(小さなオーランド)と名付けられました。今でも世界各地の家庭やオフィス、レストランなどたくさんの人に愛され続けています。またカラーリングも特徴的で水性塗料で塗られているので、塗装されても木目がそのまま現れています。もちろんバーチ無垢材本来の色味を生かした仕上げもお選び頂けます。
その他撮影に使われたアイテムたち
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