ニーチェアは、デザイナー 新居 猛（にい・たけし）が1970年にデザインした椅子です。
彼は「座り心地を落とさず、とにかく安く、道具のように役に立ってこそ椅子」という信念を持ち、「多くの人から愛されるカレーライスのような椅子づくり」を目指していました。
その思想は素材の選び方や構造の工夫に反映され、ニーチェアには“使う人の生活を豊かにし、心地よい時間を提供する”という思いが込められています。
なお「ニーチェア」という名前は、デンマーク語で「新しい」を意味する『NY（ニュイ）』に由来しており、暮らしに新しい心地よさをもたらしたいという想いが込められて名付けられました。今回は、そんなニーチェアの魅力をご紹介します。
暮らしに溶け込むシンプルな構造
時を重ねて味わいが深まる素材
エックス
シキリ
用途に合わせたモデルの選び方（リビング・書斎・オフィスなど）
ニーチェアをデザインしたのは、デザイナーの新居猛（にいたけし）。
彼がこの椅子を生み出したのは、1970年のことです。当時の日本では洋家具が少しずつ一般家庭に広がり始めており、新居は「日本の家でも無理なく使える、くつろぎの椅子」を模索し、素材の使い方や構造を徹底的に考え抜きました。無駄をそぎ落としたシルエットは、見た目の美しさだけでなく、機能性の結晶でもあります。 折りたたんで持ち運べる軽さ、張地のしなやかさ、肘掛けの温もり。どの要素も、日常に自然と寄り添うことを前提に設計されています。
ニーチェアXに座ると、まず感じるのは“身体がふっと落ち着く”感覚。深く腰を下ろした瞬間、布がやわらかく沈み込みながら、腰や背中をしっかりと支えてくれます。金属フレームのしなりとキャンバス地の張りが互いに引き合うように動き、体重をうまく分散し、硬さと柔らかさのちょうど中間にある感触が、長時間座っても疲れにくい理由です。ロッキングチェアのように包み込むのではなく、布の「張力」で身体を支える構造になっているため、姿勢を変えても圧迫感がなく、重力を忘れるような心地よさを感じます。まるで“自分の体を理解してくれている椅子”とでも言いたくなるような座り心地です。
ニーチェアXは、構造そのものが“機能美”の塊といえる椅子です。余計なパーツや複雑な仕組みは一切なく、フレーム・シート・肘掛けというわずか3つの要素だけで成り立っています。折りたたみの動作もワンステップで、脚を軽く引き上げるだけでスッと閉じ、収納や移動も片手でこなせるほど軽量です。
日常のなかで生まれる“使っていない時間”にまで心を配って設計されている点も魅力で、掃除の際にさっと寄せられたり、来客時にすぐ取り出せたりと、生活の流れを止めない“可動性のある家具”として完成度が高い一脚です。無理に飾らなくても置くだけで空間が整うのは、機能と造形がひとつに結びついている証です。
こうした姿勢の背景には、「座り心地を落とさず、とにかく手に取りやすい価格で。道具のように日常の役に立ってこそ椅子である」という揺るぎない信念があります。
多くの人の日常に自然と溶け込み、“カレーライス”のようにいつでも頼れる存在を目指してつくられた椅子なのです。
厚手のキャンバス地のシートは、しっかりとした手触りながら、使い続けるうちに少しずつ柔らかく馴染んでいき、皺や色味が変化することで独特の風合いが生まれます。肘掛け部分には天然木が採用され、金属との対比が印象的。手を置くたびに温もりが伝わり、冬でも冷たさを感じにくい仕上がりです。
金属フレームは丈夫で軽く、無駄のないラインを描いています。溶接や塗装の精度も高く、日本の職人による丁寧な仕上げが光ります。素材そのものの良さを前面に出すことで、飽きがこない。経年変化を楽しむという、使い手の“成長”に寄り添うデザインです。
ひじ掛けには、木目が均一なビーチ材を使用しています。ウレタン樹脂塗装を施すことで、表面には適度な艶が生まれ、ツルツルとした手触りが特徴です。樹脂の膜で表面をコーティングすることで、熱や水に強く、傷や汚れがつきにくいため、汚れにくさを重視したい方におすすめです。
シート生地は、織り上げた後に染色する「後染め加工」を施しています。
木肌が粗く重厚感のあるオーク材に、仕上げの異なる2種類をご用意しています。ひとつはソープフィニッシュ、もうひとつはチャコールブラック（ウレタン樹脂塗装）です。
ソープフィニッシュは、塗装ではなく石鹸をすり込んで表面に油脂を残す仕上げのため、木そのものの手触りや経年変化を楽しめるのが特徴です。
一方、チャコールブラックのウレタン樹脂塗装は、目弾き（オープンポア）仕上げを採用することで、オーク材特有の木肌の質感を残し、木炭のような深みのある印象に仕上げています。
シート生地は、糸の先染めと繊細な織りの技術により、表情豊かな柄を表現しています。
一番人気！座面が最も低く、深く腰掛けて“休む”のに向いた形。安定感が高く、読書・くつろぎ用途におすすめです。オットマンとの併用でさらにリラックス感がアップします。約6.5kgと軽量で、畳むと幅はわずか15cmになります。
揺れのある構造で、身体に寄り添う動きがあり、リラックス用途（音楽／映画／うたた寝など）に適しています。エックスよりやや座高が高く、靴下を履くような動作もしやすいです。体重をかけたり、伸びをしたりすると、ゆったりと揺れ、安心感に包まれます。
背もたれが少し起きていて、立ち座りがしやすく“軽休息”〜“談話”用途に向いています。テーブル併用やデスク近くで使いたい場合にも選ばれています。膝に負担がかかりにくいので、ご高齢の方にもおすすめです。包み込まれるような座り心地はそのままに、立ち座りが楽な座面高と、腕を自然に支える肘かけの高さ・角度を実現。さらに、背もたれまで折り畳める構造により、よりコンパクトで持ち運びやすい形状になっています。
エックスと少し迷いましたが、心地よい揺れを感じたかったのでロッキングを選びました。部屋が狭くてソファは置けないけれど、くつろげる家具が欲しい――そんな自分にぴったりの逸品でした。毎日座るので普段は広げたまま使っていますが、使わないときは折りたたんで直立できるため、限られたスペースでも置き場所に困りません。数ある名作家具の中でも比較的手の届きやすい価格帯だったことも、購入の決め手になりました。デザイン面では和室はもちろん洋室にもマッチしますし、さまざまなテイストにも合わせやすいです。体を優しく包み込んでくれるので、長時間座っても疲れにくく、毎日寛いでいます。
シート生地は、水洗いすると「縮み・色落ち・接着剤の剥がれ」などが生じることがあるため、 ドライクリーニングが推奨となります。
オイルフィニッシュ
肘掛け等の木部からシートを外し、乾いた布で拭き→必要に応じて紙やすりで軽く研磨→木材用オイルを塗布→余分なオイルを拭き取り→風通しの良い日陰で乾燥させる。
塗布に使った布は発火の恐れがあるため水で濡らしてから廃棄してください。
ソープフィニッシュ
こちらも木部を乾いた布で拭き→ソープ溶剤（例：WENNEX）を塗布→乾燥→必要なら紙やすりで軽く研磨。汚れがひどい場合は紙やすりで木肌を整えてからソープ溶剤塗布。
リグナテラス東京では、実際にNychairを体感いただけます。
『茅場町駅』から徒歩5分程の場所にリグナテラス東京はお店を構えています。 深いネイビーのタイルと植物に囲まれた外観が特徴的な大きな建物は坪数約300坪と、23区内でも最大級規模のインテリアショップとなっております。昔研究所だったところをインテリアショップにすべく、当時のスタッフがリノベーションして創り上げたのです。そうやって出来上がった店舗は全部で3フロア。ディテールにこだわった美しい家具や豊富な雑貨を展示・販売しております。
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